ジプシーとは?その意味、歴史、民族を知る

 
こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん@performingart2)です。

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』を見てみると、エスメラルダを始め沢山のジプシー達が登場します。

エスメラルダやクロパンがジプシーであるということは分かっても、ジプシーがどういう存在なのかまでは把握しきれていない…という方は結構多いのではないでしょうか?

彼らがどういう歴史を持ち、どういう生活をしてきたのか。何となくしか分からない、ジプシーの全貌に迫ります。

お知らせ!
『ノートルダムの鐘』の解説・考察本を執筆しました!

中世ヨーロッパにおける「身体障がい者」の扱いはどのようなものだったのか?「ジプシー」はなぜ迫害され、「魔女狩り」はどのようにして起こったのか?中世ヨーロッパのリアルに焦点を当てながら、ミュージカル『ノートルダムの鐘』の奥深さを紐解く解説・考察本。

Kindle(電子書籍)、ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中。

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能!:0円で読む!


 

ジプシーとは

 

ジプシーはヨーロッパで生活している移動型民族を指します。

差別用語に指定されているため、現在は「ロマ」という呼び名が使われています。

「エジプトから来た人」を意味する「エジプシャン」の言い方が崩れて、ジプシーとなったそうです。

 

どういう人たち?

 

まず、ジプシーとはどういう人たちなのか理解するところから始めましょう。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

ジプシー(gypsy)は、一般にはヨーロッパで生活している移動型民族を指す民族名。

転じて、様々な地域や団体を渡り歩く者を比喩する言葉ともなっている。外名であり、当人らの自称ではない。

ジプシー(wikipedia)

 

ジプシーとはヨーロッパで生活している移動型民族を指すんですね。

しかも自称ではないということですから、周囲がそう呼び始め、基本的に自らをジプシーとは名乗らないと分かります。

 

どういう意味?

 

では、どういう経緯で「ジプシー」という名前がついたのでしょうか?(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

1427年にフランスのパリに現れた彼らは、「自分たちは低地エジプトの出身である」と名乗った。

ここから「エジプトからやって来た人」という意味の「エジプシャン」の頭音が消失した「ジプシー」 (Gypsy) の名称が生じたと言われる。

ジプシー(wikipedia)

 

1427年にパリに現れた…とありますが、ヴィクトル・ユーゴーの原作『ノートルダム・ド・パリ』では時代が1482年ですから、時代背景としては当てはまりますね。

エジプトからパリへやってきた人たちが自分たちのことを “Egyptian(エジプシャン)” と名乗り、その頭文字の “E” が取れて、いつからか “gyptian(ジプシャン)” になり、最終的には “gypsy(ジプシー)” に落ち着いたということです。

 

 

 

差別用語?

 

加えて、こんなことも書かれていました。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

近年の日本においては、「ジプシー」は差別用語、放送禁止用語と見做され、「ロマ」と言い換えられる傾向にある。

しかし、「ジプシー」には「ロマ」以外の民族も含まれているので、これは他のジプシー民族を無視することになる。

ジプシー(wikipedia)

 

現在では差別用語となっているため、「ロマ」と呼ばれているようですね。

 

ロマとは

どういう人たち?

 

では「ロマ」とはどのような人たちなのでしょうか?(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

ロマ(Roma, 次節も参照。単数はロム)は、ジプシーと呼ばれてきた集団のうちの主に北インドのロマニ系に由来し中東欧に居住する移動型民族である。

移動生活者、放浪者とみなされることが多いが、現代では定住生活をする者も多い。

ジプシーと呼ばれてきた集団が単一の民族であるとするステレオタイプは18世紀後半に作られたものであり、ロマでない集団との関係は不明である。

ロマ(wikipedia)

 

ほー。

少しややこしくなってきましたが、ロマというのはヨーロッパで移動型生活をしてきたジプシーの中でも、北インドのロマニ系の人たちを指すということです。

こう考えると、先のジプシーの引用にこう書かれる理由が分かります。

 

  • しかし、「ジプシー」には「ロマ」以外の民族も含まれているので、これは他のジプシー民族を無視することになる。

 

移動型生活をしていたという意味では同じかも知れませんが、民族的には「ジプシー=ロマ」ではないんですね。

 

ロマ語とは?

 

ロマの人たちがどんな言語を話しているかというと、主に「ロマ語」を話していると言われています。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

ロマ語(ロマご、ロマニー語、ジプシー語)はインド・ヨーロッパ語族インド語派の言語で、インドから北アフリカ、ヨーロッパへ移住した少数民族ロマ(ジプシー)が使用する。

ロマは国家をもたないため標準語はない。方言が非常に多様で、20群60種類以上に分類される。もともと固有の文字はなく、現在ではラテン文字で筆記されることが多い。

ロマ語(wikipedia)

 

興味深いですね!

『ノートルダムの鐘』でも、一部ロマ語を使って歌っている歌詞がありますので、是非併せてご覧ください。

 

また、ロマ(ジプシー)の文化はあらゆるものに影響をしています。

例えばフラメンコの原型と言われていたり、有名なクラシック音楽もロマの音楽からインスピレーションを受けて出来たなどなど。

迫害され、一言では語れない歴史を持っているロマですが、その影響力は私たちの想像を超えていると言えるでしょう。

 

中世ヨーロッパにおける「身体障がい者の扱い」や「ジプシーの歴史」については【ミュージカル『ノートルダムの鐘』が現実的な3つの理由:~ 中世の身体障がい者、ジプシー、そして魔女狩り ~】で詳しくまとめています。

中世ヨーロッパのリアルを知ることで、作品の見え方に深みが出ます。読んで視野を広げてみて下さいね。

 

もっと考察を読みたい方は、曲一覧から!


それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん@performingart2 ←twitter)でした。

***

『ノートルダムの鐘』の本質的な面白さは、この本にまとめています。観劇前後にお読みいただき、繰り返し『ノートルダムの鐘』をお楽しみくださいね!

Kindle(電子書籍)、ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能!:0円で読む!