劇団四季のワザが光る!“sanctuary”の訳し方

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より“The Bells of Notre Dame(ノートルダムの鐘)”を見てみると、“sanctuary”という単語への翻訳が光っています。

この翻訳は本当に凄い!劇団四季では“sanctuary”をどのように翻訳しているでしょうか?

キーワードの1つとも言える“sanctuary”という単語。日本語に訳すと「聖域」という意味になります。

作品内に“sanctuary”は散りばめられていますが、今回は中でも美しい翻訳の1つをご紹介します。

 

“sanctuary”を「聖域」と訳さなかった歌詞を比較

英語版

オープニングの中盤辺り、病に倒れたジュアンにフロローが会いに行った時のこと。「もう一度ノートルダム大聖堂へ帰ろう」と歌うシーンがあります。英語ではこうですね。

 

Brother dearest, come with me where we will find a remedy
And Notre Dame once more will be your sanctuary
Healing you will be my goal
Not just your body, but your soul
We’ll be together in our holy sanctuary
―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “The Bells of Notre Dame”

 

2、5行目に“sanctuary”という単語が出ており、歌われている内容はこうです。

 

  • 親愛なる弟よ、私と一緒に治療が出来る場所へと帰ろう
  • そしてノートルダムはもう一度おまえのsanctuaryとなる
  • お前を癒すことが私の目標だ
  • お前の体だけではなく、お前の魂も
  • 我らは我らの神聖なsanctuaryで共に暮らすのだ

 

この2つの“sanctuary”はいずれも「聖域」と訳して問題ない箇所のはず。しかし、劇団四季版ではそうなってはいません。

 

劇団四季版

一方の劇団四季の歌詞を見てみましょう。

 

病を治せる薬が見つかるさ
ノートルダムに帰ろう
聖域
魂と体癒してやろう
2人で暮らすんだ
我が家
―ミュージカル『ノートルダムの鐘』より「ノートルダムの鐘」

 

英語版の方が圧倒的に情報量が多い中で、かなり忠実に訳されていると分かります。そしてここでワザが光るのが、“sanctuary”を「聖域」と「我が家」とそれぞれ分けて訳していることです。

では何故、両方とも「聖域」と訳さなかったのでしょうか?

 

 

何故「聖域」と「我が家」と翻訳したのか

注目すべきはポイント、歌詞“The Bells of Notre Dame(ノートルダムの鐘)”の始めの方にありました。

孤児となったフロローとジュアン兄弟が、ノートルダム大聖堂で生活することになったシーンです。

 

英語版

英語版から見てみましょう。この部分です。

 

Oh dear brother
Meet these arches and this sacred dome
We are blessed to find our sanctuary and our home
―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “The Bells of Notre Dame”

 

意味を押さえておきましょう。

 

  • あぁ、愛する弟よ
  • このアーチと神聖なドームに向かいなさい
  • 聖域そして我が家を見つけられた我らは恵まれている

 

孤児になってしまって、行くあてのない兄弟が、彼らを守ってくれる場所(sanctuary=聖域)、そして居場所(our home=我が家)を同時に与えられ、それを心から感謝しているフロローのパートですね。

そして言う間でもなく、その両方の役割を果たす場所が「ノートルダム大聖堂」だということが分かります。

 

劇団四季版

では、ここの日本語訳を見てみましょう。

 

ここは神に守られた場所
そして私たちの我が家だ
―ミュージカル『ノートルダムの鐘』より「ノートルダムの鐘」

 

少しニュアンスが異なるとはいえ、伝えたい内容は同じです。ノートルダム大聖堂が彼らにとってどんな役割を成すか…ということを前面に出している訳になっていますね。

英語版における3行目の部分を全ての音数に使っているということになります。

 

 

「sanctuary=聖域=我が家」となるワケ

ここまで読んでみて、勘の良い方は何かピンとくるものがあったはず…。

そうです。

孤児になった彼らを迎え入れたノートルダム大聖堂は、彼らにとっての「聖域」であると同時に「我が家」にもなったのです。ですから、こういう構図が成り立ちます。

 

  • ノートルダム大聖堂(Notre Dame)=聖域(sanctuary)=我が家(our home)

 

そこでもう一度冒頭で紹介した歌詞を思い出してみましょう。

 

  • And Notre Dame once more will be your sanctuary
    (そしてノートルダムはもう一度おまえのsanctuaryとなる)
  • We’ll be together in our holy sanctuary
    (我らは我らの神聖なsanctuaryで共に暮らすのだ)

 

“sanctuary”とは先にも申し上げた通り「聖域」であり「我が家」なんです。もちろん両方とも「聖域」と訳しても良いのですが、それでは意味が半減してしまいます。

ではどう翻訳したら良いか…?そこでそれぞれの行に二分しているんです。

 

  • And Notre Dame once more will be your sanctuary
    (ノートルダムに帰ろう 聖域に)
  • We’ll be together in our holy sanctuary
    (2人で暮らすんだ 我が家で)

 

文章的にも自然ですし、それぞれの状況に適した意味で訳されています。

この訳であれば、孤児になってしまった時のシーン同様、観客は自然と「ノートルダム大聖堂(Notre Dame)=聖域(sanctuary)=我が家(our home)」という構図を把握できますよね。

日本人にとってはあまり馴染みのない「聖域」という言葉を上手く補いながら、原文に忠実に訳されたパートだと思います。

ワザが光る翻訳はほかにも沢山あるはずです!みなさん、是非探してみてくださいね。

♪『ノートルダムの鐘』の曲一覧はこちらから:ノートルダムの鐘/英語歌詞を徹底分析!日本語で意味を理解しよう

⇒【ノートダムの鐘】オリジナルキャスト画像集はこちら☆・’

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