劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「酒場の歌(The Tavern Song/Thai Mol Piyas)」の英語歌詞を見てみると、酒場で酔っぱらいながら楽しむジプシー達の様子を見て、彼らを軽蔑した5つの言葉をフロローがこぼします。
その言葉とは何でしょうか?
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「酒場の歌(The Tavern Song/Thai Mol Piyas)」の歌詞に、次のようなフレーズがあります。
Base and lewd and blasphemous
This vile, depraved display―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “The Tavern Song(Thai Mol Piyas)” (作詞:Stephen Schwartz)
“and” や “,” で区切られながら羅列されている1つ1つの単語が、まさにフロローがジプシー達を軽蔑している5の言葉です。1つずつ抜き取っていくと次のようになります。
どうですか?フロローの体の奥から吐き出されるようなこの言葉の数々。
聖職者の立場としてはお酒も女性も禁じられていますが、その上に自身が毛嫌いするジプシー達です。
フロローの立場からすれば、目に入れること自体が不愉快な光景でしょう。
しかしながら、彼は直後、このようにも歌っています。
I cannot bear to watch
And yet I cannot turn away―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “The Tavern Song (Thai Mol Piyas)”
意味はこうです。
- bear to watch … 見ていられない
- yet I cannot turn away … 未だに顔をそむけられない
とても見ていられないような様子なのに、顔をそむけることが出来ないフロロー。
にもかかわらず、目をそらすことが出来なかったのは何故なのでしょうか。
1つは淫らな様子のフィーバスに、女と酒におぼれた自分の弟に重ねたから、もう1つは、エスメラルダから目をそらすことが出来なかったからでしょう。
理性とはうらはらに、エスメラルダに心が惹かれていくフロロー。
あらゆる感情が複雑に絡み合ったこのほんの短いシーンですが、人間的な感情が一度に集まったこの瞬間のフロローが私はとても好きです。
フロローの人間的な感情が静かに絡み合う様を表現しているのが、このフレーズと言えますね。
そして、実はこの酒場の名前はフロローの複雑な胸中が表現された名前になっていました。
是非、こちらの記事も併せてご覧ください。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。