“Soul of a Man” で歌われるのは、チャーリーの葛藤

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『キンキーブーツ(Kinky Boots)』より “Soul of a Man” の英語歌詞を見てみると、チャーリーが自信喪失し、自暴自棄になっていることが分かります。

やるだけのことをやって、自分の弱さから全てを壊してしまったように感じたチャーリー。

彼が “Soul of a Man” という曲に、どのような気持ちをのせて歌っているのか見てみましょう。

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チャーリーの嘆きが歌われるサビ

 

Soul of a Man” は直訳すれば「男の魂」ですが、ここは性別的な意味での「男」ではなく、1つの工場を守る社長として、人間としてといった意味での「男」と解釈すると良いでしょう。

まずはサビに着目してみましょう。

サビは3回登場しますが、構造を理解することから始めたいので、冒頭のオレンジ部分はひとまず省略します。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

●●● the soul of a man, noble and wise
Like the soul of a man who lifted me high
Like the soul of a man, heroic and true
Like the soul of a man that I looked up to
What else could I do?

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Soul of a Man”(作詞:Cyndi Lauper)

 

ここで歌われるのは、こういったことです。

 

  • 男の魂、それは気高く賢明
  • 僕のレベルを上げてくれた男の魂のように
  • 勇敢で正直な男の魂のように
  • 僕が目指した男の魂のように
  • これ以上、僕に何ができる?

 

チャーリーの考える「男の魂(ありかた)」はこのようなもので、彼自身、これを目指してきたことが分かります。

1曲を通してこのサビは3回登場しますが、冒頭部分は次のように変わります。

 

  • ‘Cause I’ll never be the soul of a man, noble and wise … なぜなら僕は絶対に、気高く賢明な「男の魂」を持ち合わせることはできないから
  • How can I be the soul of a man, noble and wise … どうしたら僕は、気高く賢明な「男の魂」を持ち合わせることができるようになるのだろうか
  • When will I be the soul of a man, noble and wise … いつになったら僕は、気高く賢明な「男の魂」を持ち合わせる人間になれるのだろうか

 

どのようにしたら、工場を経営してきた父親のようになることができるのだろうか…という葛藤が、深くなっていくことが分かりますね。

 

 

チャーリーの自信喪失

 

サビの間にくる歌詞は、チャーリーの自信が喪失しているものばかりで、特に一番最後では完全に諦めてしまっていることが分かります。

 

I’ll never be, no I’ll never be
I have gone and let you down
Whoa, soul, soul of a man
Here comes that familiar sound
Same old Charlie hittin’ the ground
(Ahhh!)

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Soul of a Man”(作詞:Cyndi Lauper)

 

意味はこうです。

 

  • 俺にはなれない、俺にはなれない
  • 僕あ逃げてしまって、あなたの期待を裏切った
  • 男の魂か
  • ああ、聞き覚えのある音が聞こえるよ
  • 昔とはなんら変わらないチャーリーが、地面にたたきつけられる音が

 

読んでいるだけで辛くなりますよね。

しかし、チャーリーはここまで自分を追い詰めてしまったのだということが分かります。

『キンキーブーツ』では、靴に例えて感情表現することが多いですが、ここでもそれが非常に効果的です。

 

Just when I’m reaching for that rung at the top
On that broken heel steady, and ready, ready to drop

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Soul of a Man”(作詞:Cyndi Lauper)

 

これは、チャーリーが初めてローラに出会った時のことを引用した表現で、ローラのハイヒールが折れてしまった過去の情景に、今の感情をのせています。

 

  • 僕が高いところを目指していた時は
  • あの壊れたヒールから落ち始める時でもあったんだ

 

あの壊れたヒールから、ドラァグ・クイーンへのニッチ市場を開拓し、ミラノを目指すことになったのに、心境が変わるとこんな風にも歌えてしまうんですね。

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

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