劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』に登場する劇場猫のガス。
老いぼれて弱々しく見える彼の内側に、演劇に対する情熱が未だに燃え盛っていることは、皆さんもご存知の事でしょう。
英語歌詞内では「2人の有名な英国人俳優と共に共演したんだ」とガスが自慢気に歌っています。彼らについて知ることで、なぜガスが誇りに思っているかがよく分かります。
今回は、この2人の俳優とゆかりのある3つの劇場についてご紹介しますよ。
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英語歌詞内に登場する2人の俳優とは?
歌詞の中に登場する2人の俳優というのは、ヘンリー・アーヴィングとハーバート・ビアボウム・トリーという人物です。
歌詞にどのように登場しているかは次の記事をご覧くださいね。
彼らは英国の演劇を語る上で避けられない俳優たちなのですが、そんな彼らにゆかりのある劇場について調べようと思った時、出会った本がこの本でした。
3つの劇場というのは次の通りです。
- ライシアム劇場
- ヘイマーケット劇場
- ハー・マジェスティーズ劇場
それ以外の劇場についても触れられていますので、英国の演劇をもっとよく知りたいという方は、是非この本を読んでみてくださいね。
3つの劇場
ライシアム劇場
英国の演劇と言えばシェイクスピアですが、それとかなり関係が深いのがこのライシアム劇場でした。
アーヴィングが就任するまで、火災や経営危機に直面し、なかなかの不幸続きであった劇場ですが、アーヴィングが就任すると人気であったシェイクスピア演目はもちろん、不人気であったシェイクスピアの演目も数多く上演されたようです。
また上演作品の選定だけではなく、舞台演出の面でも大きな革新がなされたのもアーヴィングが在籍していた時代で、毎日満席が続いたようです。
もともとは多目的ホールととして建設されたようですが、改築などを繰り返す中で、次第にシェイクスピアを扱う劇場といった印象を植え付けていきました。
アーヴィングなき後は、シェイクスピアの上演も減り、現在では『ライオンキング』などが上演されるミュージカル劇場となっています。
ライシアム劇場に就任していたアーヴィングは俳優ではなく「アクター・マネージャー」という職務についていましたが、それがどのような役割を担っていたかは、この本で分かりやすく説明されています。
19世紀の英国演劇界を特徴づけたアクター・マネージャーとは、一般的に座頭格の俳優が就任し、劇場の演目、演出、配役、舞台装置など制作全体の権限のみならず、経営を含む劇場運営全般の決定権をもつ劇場の顔である。
アクター・マネージャーを引き立てる演目を揃え、演劇界や経営方針が劇場の個性を生む利点である反面、アクター・マネージャー中心のワンマン公演に陥る弊害も指摘されている。
―ロンドンの劇場文化 英国近代演劇史(p.17)
つまりアクター・マネージャーというのは「俳優兼マネージャー」ですから、劇場に関する全てを担う存在です。名誉と同時に責任は重かったことでしょう。
もちろん、アーヴィングが全演目の主演をはっていたので、男性俳優たちはある程度成長すると別の劇場へ移っていったようですね。
そういった点ではデメリットもあり、実際世代交代は難しかったようです。
アーヴィングがアクター・マネージャーとして残した大きな功績は「劇場の改修」と「人材育成」だったようですよ。
ハー・マジェスティーズ劇場
こちらの劇場はアクター・マネージャーであったトリーにゆかりのある劇場で知られています。
現在ではミュージカル劇場として親しまれていますが、当時は上流階級に混ざりながら中流階級の観客も多く押し掛けた劇場でした。
この劇場で重要な空間の1つとして「ドーム」がありますが、ここはかつて社交場として使われていました。
また演劇学校の前身「アカデミー・オブ・ドラマティック・アート」としても使われていたようです。
俳優の地位が社会的に引き上げられていく中、中流階級の若者の目には俳優が憧れの職業として映っていたようですよ。
ヘイマーケット劇場
最後はヘイマーケット劇場です。こちらも、トリーにゆかりのある劇場ですね。
マチネ(昼)公演を早くに取り入れた劇場であったことや、改修時に舞台の額縁を装飾するプロセニアム・アーチを取り入れていることでも有名なようです。
「ガス – 劇場猫(Gus:The Theatre Cat)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。