“Haus of Holbein” で歌われる女性の努力と皮肉

 
こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん@performingart2)です。
 

ミュージカル『シックス(SIX)』より “Haus of Holbein” の英語歌詞を見てみると、宮廷画家ハンス・ホルバイン(Hans Holbein)に肖像画を描いてもらうために、女性たちがどのような努力をしてきたかが分かります。

皮肉交じりで歌われる当時の化粧事情も含めて、コメディタッチな歌詞の内容を見ていきましょう。

※宮廷画家ハンス・ホルバインに肖像画を描いてもらったアン・オブ・クレーヴスの詳しい人物像は、こちらの記事でまとめています。

あきかんの参考資料

・ ミュージカル『シックス』アルバム(CD・配信・ダウンロード)

↓ 「ヘンリ8世と妻の関係」を知るならコレ!


 

Haus of Holbein(ハウス・オブ・ホルバイン) とは

 

この曲の内容に入る前に重要なのは、曲名 “Haus of Holbein” を理解することです。

具体的な名称として “Haus of Holbein” が存在するわけではなさそうですが、意味は「ホルバインの家」になります。

英語で “house of Holbein(ホルバインの家)” と言わずに、あえてドイツ語の “haus(家)” と英語の “of Holbein(ホルバインの~)” を混ぜたフレーズにしているのは、恐らく2つの理由からだと思われます。

 

  1. この曲に登場する宮廷画家 “Hans Holbein(ハンス・ホルバイン)” と響きが似ているから
  2. ハンス・ホルバインがドイツの画家であったため、曲名にドイツ語を混ぜている

 

Haus of Holbein” でドイツ語が多様されるのは後者の理由からだと想像できますね。

この曲にはこれらのドイツ語が登場するので、先に押さえておきましょう。

 

  • haus … 家
  • das ist gut … 大丈夫です
  • Haus of Holbein … 宮廷画家ハンス・ホルバインの家
  • vier … 4
  • ja … はい
  • nein … いいえ
  • wunderbar … 素晴らしい

 

Hans Holbein(ハンス・ホルバイン)とは

 

Haus of Holbein” に登場する宮廷画家ハンス・ホルバインはどのような人物だったのでしょうか?

歌詞にはこのように歌われています。

 

Hans Holbein goes around the world
Painting all of the beautiful girls
From Spain
To France
And Germany
The king chooses one
But which one will it be?

―ブロードウェイミュージカル“SIX”より “Haus of Holbein”(作詞:Toby Marlow, Lucy Moss)

 

意味はこうです。

 

  • ハンス・ホルバインは世界中を飛び回る
  • 世界中の美しい女性たちを描くために
  • スペインからフランス、そしてドイツまで
  • 王様が選ぶのは1人だけ
  • さて、だれになるのかしら?

 

ハンス・ホルバインが宮廷画家として、王妃になるのにふさわしい女性の肖像画を描き歩いていたことが分かりますね。

ミュージカル『シックス(SIX)』においては、ヘンリ8世4人目の妻アン・オブ・クレーヴスの肖像画がハンス・ホルバインによって描かれたと歌われています。

ヘンリ8世は肖像画と実物の見た目があまりに違っていたために激怒し、アンと結婚の解消をし、ホルバインを追放しました。

しかしホルバインは忠実な絵を描く画家だったため、結婚解消は別の理由ではないか…という見方もあるようです。

 

 

描かれるために努力した女性たちの裏側

ルックスを極めるのは、王がそれを求めたから

 

ミュージカル『シックス(SIX)』はフェミニズム要素の強い作品ですが、”Haus of Holbein” でもその傾向が見られます。

王に見初められるために、どのようにルックス(見た目)を極めたか…それは裏を返せば、王はルックスを求めていたというふうにも言い換えられます。

その代表的な歌詞がここのフレーズ。

 

You bring the corsets
We’ll bring the cinches
No one wants a waist over nine inches
So what, the makeup contains lead poison?
At least your complexion will bring all the boys in

―ブロードウェイミュージカル“SIX”より “Haus of Holbein”(作詞:Toby Marlow, Lucy Moss)

 

意味はこうです

 

  • コルセットを持ってくれば
  • ちょろいもの
  • 誰もウェスト9インチ以上は欲しがらないもの
  • 化粧は鉛中毒を引き起こすって?だから何?
  • 少なくとも顔が男たちを呼び寄せるのよ

 

ちなみに9インチは約23センチ。そんな無茶な…ですね。

「鉛中毒」は、当時化粧品には有害とみなされる成分が含まれていたことによるものですが、そういったことを押してでも化粧をして見初められることを優先していると分かります。

 

美しさのための我慢とお洒落事情

 

また、肖像画を描いてもらう上では我慢が求められるということも歌われています。

 

Ignore the fear and you’ll be fine
We’ll turn this vier into a nine
So just say ‘ja’ and don’t say ‘nein’
‘Cause now you’re in the house

―ブロードウェイミュージカル“SIX”より “Haus of Holbein”(作詞:Toby Marlow, Lucy Moss)

 

意味はこうでしょう。

 

  • 恐れを無視すれば大丈夫
  • 星4つを星9つにして見せるわ
  • だからただ「はい」と言って、「いや」とは言わないの
  • だってあなたは今、ホルバインの家にいるんだから

 

ホルバインの言う通りにすれば、綺麗に描いてくれるから」といった雰囲気が伺えますね。

直接的な表現として、このように歌われている部分もあります。

 

  • We know what all the best inventions are/To hold everything up … みんな知っている、一番の発明は/全てを我慢することだって

 

また、肌や髪の色つやを明るくするためにはアンモニアが使われていたということから、このような歌詞も登場します。

 

  • For blonder hair, then you just add a magical ingredient/From your bladder … ブロンドの髪には膀胱から出る特別な成分を配合するだけ

 

「膀胱から出る特別な成分」は「尿」で、アンモニアを指しています。

少し小馬鹿にした表現の裏に、皮肉が混じっているように感じますね。

 


それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん@performingart2)でした。

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