ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(Hedwig and the Angry Inch)』より “Midnight Radio” の英語歌詞を見てみると、ヘドウィグがどのように自分自身を受け入れたかが分かります。
自分自身と葛藤し、人を虐げて来たヘドウィグが、トミーと向き合ったことでどのように変わることができたのかを見ていきましょう。
※こちらの記事をお読みいただくと、より理解が深まります。是非、事前にお読みください!
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ヘドウィグは自分自身にはずっと「愛のカタワレ」がいると信じていました。
しかしトミーに「そんなものは存在しない、最初から君は君自身を求め続けていたんだ」と歌われたことから、トミーを手放し、虐げて来たイツハクを解放することになります。
こういった行動に移ることができたのは、ヘドウィグ自身が自分で自分を満たすことができるようになったためです。
それが、この歌詞で歌われています。
Rain falls hard, burns dry
A dream or a song
That hits you so hard
Filling you up
And suddenly you’re goneBreathe, feel, love, give, free
Know in you soul
Like your blood knows the way
From you heart to your brain
Know that you’re whole―ブロードウェイミュージカル“Midnight Radio”(作詞:Stephen Trask)
意味はこうです。
- 雨は激しく降り、炎は乾き
- あなたの胸を強く打つ夢や歌が
- あなたを満たしていく
- そうしてあなたは去っていく
- 呼吸して、感じて、愛を、与えて、自由に
- あなたは魂でそれを感じている
- あなたの血で行くべき場所を知っているように
- 心から脳みそまであなたは完全体であると知っているように
これはヘドウィグが自分自身を「カタワレを探し続ける半身」ではなく「個人としての完全体」として認識した瞬間だと言って良いでしょう。
そして相手のことをこのように表現します。
And you’re shining
Like the brightest star
A transmission
On the midnight radio―ブロードウェイミュージカル“Midnight Radio”(作詞:Stephen Trask)
意味はこうです。
- あなたは輝いている
- まるで最も輝いているスターみたいに
- 深夜ラジオのメッセージのように
これは決して明るい場所で輝くスターではないけれど、深夜ラジオで流れるスターのように輝いているということを言いたいのではないかと考えています。
大衆向けではないけれど、必要な時に必要な場所でメッセージを届け続けている…それがヘドウィグでありイツハクのような存在なのではないかと、私は解釈しています。
これは後半で登場する “All the misfits and the losers(全ての、環境に順応できない人間や負け組たちへ)” や “all the strange rock and rollers(全ての風変わりなロックンローラーたちよ)” と歌っている辺りから伺えます。
全てのものを失ってしまったように感じたヘドウィグでしたが、自分を愛し、自分がいるべき場所を見出すことができました。
トミーのように大舞台で歌うことはこの先も叶わないかもしれませんが「邪悪な小さな街(Wicked Little Town)」を中心に、ヘドウィグはヘドウィグなりの生き方、満たし方をしていくのではないかなと感じています。
なお、歌詞に登場する人名は、ロックンロールやアートと関係のある以下の人々だと想像しています。参考にしてみてくださいね。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。