エスメラルダと他の参拝者達とで、決定的に違う祈りの内容とは?

ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より“God Help the Outcasts(神よ 弱き者を救いたまえ)”の英語歌詞を見てみると、ノートルダム大聖堂へ来た参拝者達とEsmeraldaの祈りでは、決定的に違うところが読みとれます。決定定期違いとは一体どこにあるのでしょうか?1つずつ紐解きながら見ていきましょう。

※CDでは上演される一部の曲しか収録されていないため、本サイトでは、曲名・曲順・歌詞は全て上演内容に順じています。参考サイトは次の通りです。CDの内容とは一部異なりますので予めご了承下さい。(参考サイト:LYRICS TO DISNEY’S HUNCHBACK OF NOTRE DAME MUSICAL (LA JOLLA PLAYHOUSE AND PAPER MILL PLAYHOUSE)

※全体を読みやすくするため記事の構成を変更致しました。(2017.5.15)

God Help the Outcastsの歌詞の中身を見てみましょう。まずは参拝者の祈りです:

I ask for wealth
I ask for fame
I ask for glory
To shine on my name
I ask for love
I can possess
I ask for god and his angels
To bless me
―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “God Help the Outcasts”

  • ask for…求める、要求する
  • wealth…富、財産
  • fame…名声、高名
  • glory…栄光、名誉
  • possess…所有する、持つ
  • bless…祝福する、恵みを授ける

全てが“I ask for~”で始まっていますね。1人1人がキリストに向かって願い(要求)を口にしていることが分かります。4行目にある“To shine on my name”は3行目の“I ask for glory”だけにかかるのか、直前3行の全体にかかるのか悩みましたが、いずれであっても意味は通じます。ここだけ全員で歌っているので、直前3行全てにかかると仮定するとそれぞれ次のような文章になります。

  • I ask for wealth to shine on my name
  • I ask for fame to shine on my name
  • I ask for glory to shine on my name

つまり、参拝者はそれぞれ「自分の名前に輝きを添えるような“富(wealth)”、“名声(fame)”、“栄光(glory)”を願う。」と歌っているんですね。

後半はどうでしょうか?4行に渡ってのフレーズですが、“I ask for~”を起点に考えると2つの願いが歌われていると分かります。

  • I ask for love I can possess
  • I ask for god and his angels to bless me

気をつけなければいけない点としては、この2つの“I ask for~”はそれぞれ意味が異なるということです。“I ask for love ~”の方は、前半と同じで「何を願うか」という意味ですが、“I ask for god and his angels ~”は「誰に願うか」という意味になります。

そう考えると、それぞれの意味は自ずと見えてくるのではないでしょうか?「自分で所有することのできる(自分に与えられる)愛を願う」と「恵みを授けてもらえるよう神とその天使たちに願う」という意味になりますね。

ここまでが参拝者達の祈りです。見て分かる通り、私利私欲のために祈りを捧げていますね。私たちの身の回りに置き換えたとしても、大半の人は自分のために祈るように感じます。それではEsmeraldaは何のために祈ったのでしょうか?まず前半部分から見ていきましょう:

I ask for nothing
I can get by
I know so many less lucky than I
―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “God Help the Outcasts”

  • get by…(~で)何とかやっていける、何とか通用する
  • less…より少ない、いっそう少ない
  • lucky…運の良い、幸運な

I ask for nothing”…つまり「私は何のためにも祈らない」ということですね。今までずっと“I ask for ~”というフレーズで構成されてきたこの曲ですが、この曲の一番の盛り上がりの部分で、こんなに胸を締め付けられるフレーズを歌うなんて…素晴らしいの一言です。

何故Esmeraldaが自分のために祈らないかと言えば、それは自分は何とかやっていける(“I can get by“)からで、自分よりもっと不幸な人(“less lucky“)を沢山(“so many“)知っているからです。

自分のためだけに祈りを捧げる参拝者と、自分はさておき弱者のために祈りを捧げるEsmeralda…これが、2者の決定的な違いです。このシーンのEsmeraldaはまるで聖女のようですね。そしてこの曲はこのように締めくくられます:

Please help my people
The poor and down-trod
I thought we all were
The children of god
God help the outcasts
Children of god…
Children of god
―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “God Help the Outcasts”

まず、my peopleは直訳すると「私の人間」ですが、転じて「私の仲間達」というニュアンスになります。したがって、冒頭では「貧しく、しいたげられた私の仲間を助けて下さい」と嘆願していることが分かります。

そして次のパートが強く心の奥に沁み入るフレーズです。“I thought we all were the children of god”、「私たちはみな神の子ではなかったかしら…?」という嘆きですね。ジプシーであるEsmeraldaはキリスト教徒ではありませんが、だからこそキリスト教というものに面と向かって、このことを問うているのだと言えます。「みな神の子なのであれば、何故人種差別があるのか。」ということをシンプルでながら真っ直ぐに投げかけています。本当に、ぐっとくるフレーズです。

そして最後の一文は“God help the outcasts children of god…”。「神よ、神の子である(私たちの様な)浮浪者をお助け下さい」という意味です。

次の記事でもまとめていますが、冒頭で「God(神)=outcast(浮浪者)」という構図を明確にし、その後「outcast(浮浪者、ここではジプシー達のこと)=children of god(神の子)」という展開にしていることが、詩の構成として何よりも素晴らしいことだと感じています。

このことについてはこちらの記事にまとめてありますので、併せてご覧くださいね。

※尚、キリスト教において正確には「神≠イエス・キリスト」ですが、このシーンは何かしら偶像を前に歌っていると考えられるので、分かりやすくするために「神=イエス・キリスト(偶像)」という解釈で説明しています。キリスト教における詳しい概念について知りたい方は、是非ご自身で調べてみて下さいね。

♪『ノートルダムの鐘』の曲一覧はこちらから:ノートルダムの鐘/英語歌詞を徹底分析!日本語で意味を理解しよう

⇒【ノートダムの鐘】オリジナルキャスト画像集はこちら☆・’

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