グロールタイガーの苦手な猫と、劇団四季版には登場しない2匹の猫

劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』より「グロールタイガー – 海賊猫の最期(Growltiger’s Last Stand)」の英語歌詞を見てみると、グロールタイガーの苦手な猫日本語歌詞には登場しない2匹の猫について触れられていることが分かりました。今回はそこを詳しく見ていきましょう。

Music from the Musical

・作品名:キャッツ(CATS)

・曲名:グロールタイガー ‐海賊猫の最期Growltiger’s Last Stand

・訳詞:浅利慶太(作詞:Trevor Nunn & Richard Stilgoe)

アルバムを視聴/楽譜 ・アルバム(日本語):キャッツ
・アルバム(英語):CATS
・楽譜:

 

グロールタイガーの苦手な猫

 

The Terror of the Thames(テムズ川の恐怖)と恐れられ、人間も動物も震え上がるグロールタイガーですが、そんなグロールタイガーにも苦手なものがありました。

 

But most to cats of foreign race his hatred had been vowed
To cats of foreign name and race no quarter was allowed
The Persian and the Siamese regarded him with fear
Because it was a Siamese had mauled his missing ear

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Growltiger’s Last Stand” (作詞:T.S. Eliot)

 

最初の2行では、外来種の猫のほとんどは嫌っているので、容赦がないことを歌っています。

ではどんな猫を恐れているかというと、 “Persian(ペルシャ猫)” と “Siamese(シャム猫)” です。

シャム猫が嫌いな理由は、彼の耳を噛みちぎったからだと具体的に歌われています。日本語では次のように訳されていますよ。

 

なかでも一番 憎い奴は
外国生まれのシャム猫だ
実は片耳をちぎったのは
恨み重なるシャム猫なのさ

―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「グロールタイガー – 海賊猫の最期」(訳詞:浅利慶太)

 

ペルシャ猫は登場していきませんでしたね。

 

感傷的になる時と場所

 

常に幅を利かせているように見えるグロールタイガーも、実は感傷的な面(sentimental side)がありました。

どんな時に感傷的になるのかというと、こういう時です。

 

Now on a peaceful summer night all nature seemed at play
The tender moon was shining bright, the barge at Molesey lay
All in the balmy moonlight it lay rocking on the tide
And Growltiger was disposed to show his sentimental side

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Growltiger’s Last Stand” (作詞:T.S. Eliot)

 

1つずつ文章を分解しながら見ていきましょう。

 

・on a peaceful summer night…和やかな夏の夜

・all nature seemed at play…全ての自然がそよいでいる(戯れている)ように見える時

・The tender moon was shining bright…儚い月が明るく輝き

・All in the balmy moonlight it lay rocking on the tide…さわやかな月明りの中、船は水面を揺らめいている

 

確かに、こんなに美しい夜は誰もが感傷的になってしまいそう…。日本語でもほぼ同様の内容で歌われています。

 

さて 悩ましき夏の宵
月の光に誘われながら
船はゆらゆら波間にゆられ
グロールタイガー ふと
心がセンチメンタルに

―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「グロールタイガー – 海賊猫の最期」(訳詞:浅利慶太)

 

1つだけ訳されていないのは、 “Molesey(モールジー)” という場所。

この場所もやはりテムズ川の近く。グロールタイガーに関わる場所のほとんどが、テムズ川付近ですね!

 

グロールタイガーが恐れられている場所は、ほぼ全てがテムズ川付近です。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

日本語歌詞には登場しない2匹の猫

 

ところでこのシーンには、日本語歌詞には登場しない2匹の猫がいます。

 

Growltiger’s bucko mate Grumbskin long since had disappered
For to the Bell at Hampton he had gone to wet his beard
And his bosun Tumblebrutus, he too had stolen away
In the yard behind the Lion he was prowling for his prey

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Growltiger’s Last Stand” (作詞:T.S. Eliot)

 

Grumbskin(グラムスキン)

 

グラムスキンはグロールタイガーの “bucko mate(若き仲間)” だそうですが、どうやら長いこと行方不明になっている(long since had disappeared)よう。

いつからいなくなっているのかというと、Hampton(ハンプトン)のBell(ベル)という場所にあごひげを洗いに行って以来だそうです…。

名前の由来は、原作にこう書かれていました。

 

Grumble(ブツブツ言う、うなる)とskin(詐欺師)の合成語。あえて訳せば「がみがみ屋のぺてん師

―T.S.エリオット『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(p.24)

 

 

Tumblebrutus(タンブルブルータス)

 

一方のタンブルブルータスは船乗り仲間(bousun:運用長)で、彼もグラムスキン同様拉致されました。

獲物得るために、Lion(ライオン)の裏庭をぶらぶらしていたところいなくなってしまった…という訳ですね。

ハンプトンのベル(Bell at Hampton)もライオン(Lion)も正確な位置が分からなかったのですが、ハンプトンについては、原作に次のような注釈がありました。

 

旧王宮、ハンプトンコートのこと

―T.S.エリオット『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(p.24)

 

 

タンブルブルータスの名前の由来についても触れられていました。

 

Tumbleは、倒れる没落するの意。brutusは、ローマの政治家ブルータス(前85~42)。brutal(残酷な)の意味も、重ねている

―T.S.エリオット『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(p.24-26)

 

グロールタイガー – 海賊猫の最期(Growltiger’s Last Stand)」の、他の記事はこちらから。


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