マキャヴィティ、英語歌詞でしか歌われていない5つの事柄と考察

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』より「マキャヴィティ – 犯罪王(Macavity:The Mystery Cat)」の英語歌詞を見てみると、日本語では歌われていない5つのことが分かります。

マキャヴィティについてどんなことが歌われているか、1つずつ詳しく見ていきましょう。

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マキャヴィティを追う2つの機関

マキャヴィティの敏腕さが歌われている日本語の歌詞はここですね。

犯罪者達の王座にいる
追いすがる警察 あざ笑い

―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マキャヴィティ – 犯罪王」(訳詞:浅利慶太)

しかし英語ではもっと詳細に歌われていて、実在する2つの機関が登場します。

He’s the bafflement of Scotland Yard
The Flying Squad‘s despair

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)

実在する2つの機関とは「ロンドン警視庁」と「特別機動隊」で、次のようなことが歌われています。

  • He’s the bafflement of Scotland Yard … 彼はロンドン警視庁の困惑の種
  • The Flying Squad‘s despair … 特別機動隊の絶望の種

マキャヴィティがどれほど「ロンドン警視庁の困惑の種」であるかというのは、次のフレーズからも分かります。

And his footprints are not found in any files of Scotland Yard’s

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)

ロンドン警視庁も特別機動隊も、犯罪を取り締まる根幹中の根幹!

ここで歌われているのは「マキャヴィティの足跡(痕跡)は、ロンドン警視庁の書類の中から見つけることは出来ない」ということで、マキャヴィティが犯人だろうと特定は出来ても、証拠が一切ないことを歌っています。

これらの機関をもってしても捕まらないなんて…よほどの存在ですね、マキャヴィティは。

ちなみに、スコットランド・ヤードというボードゲームがあります。家族で楽しめるゲームなので、是非遊んでみてくださいね。

マキャヴィティに出会うかもしれない場所

マキャヴィティに出会うかもしれない実在する場所についても歌われています。その場所とはどこなのでしょうか?

You may meet him in a by-street
You may see him in the square

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)

フレーズの中身を見てみましょう。

まず “by-street” は先頭に” a” がついているので「(特定ではないがどこかの)横町で」という意味になります。

一方の “square” は先頭に” the” がついているので「(特定の)広場」ということになります。ですから、意味合いとしては「あの広場」です。

では、その特定の広場とはどこを指しているのでしょうか?

イギリスには多くの広場がありますが、その中でも最も中心にあるものが、ロンドンにあるTrafalgar Square(トラファルガー広場)です。

“the square” と言った場合は、最も有名なこの広場のことを指しているのではと思われます。

裏道でこそこそと歩いているかもしれないし、ロンドン中心の広場で堂々と歩いているかもしれないし…なんともいやらしい猫ですね!

しかも、彼を目にしたからといって犯罪現場を目撃して取り押さえることは不可能。正真正銘の犯罪王ですね!

マキャヴィティは空を浮く?

日本語歌詞で気になったことありませんか、この部分。

あらゆる法則を破り続ける
無限の力を秘める男

犯罪現場に マキャヴィティ
イズ ノット ゼア!
地に隠れたか 空に消えたか

―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マキャヴィティ – 犯罪王」(訳詞:浅利慶太)

空に消えたか…って、猫なんだから空を飛ぶことなんてないでしょう!と普通は思ってしまいそうですよね。

しかし、これの元となっている英語歌詞が理解できると、めちゃめちゃカッコイイフレーズなんだと分かります。

He’s broken every human law
He breaks the law of gravity
His powers of levitation would make a fakir stare

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)

1行目は「彼は人間の法律を全て破ってしまう」という意味です。ですから、マキャヴィティは刑法とか民法とか、そういう人類の法を全て破ってしまうということですね。

一方2行目では「引力の法則さえも破ってしまう」ということが書かれています。

引力の法則さえも破る?引力の法を破るということは、宙を浮くということ…!?

そうなんです、引力の法則を破るとは、つまり引力に逆らって浮くことが出来るということを意味しています。

このフレーズの何がかっこいいのかと言うと、1・2行目では同じ “law” という言葉を使っているにも関わらず、両方で若干意味が違うところです。

1行目は単純に「法律」を指しますし、2行目は “law of gravity” (引力の法則)なので「法則」を意味しています。この英単語の微妙な使い分けが、とても活きていますね。

しかも引力の法則に逆らうとなと、普通に考えればあり得ない訳です。

これを踏まえた上で、日本語の元となっている英語歌詞を見てみましょう。

You may seek him in the basement
You may look up in the air
But I tell you once and once again
Macavity’s not there!

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)

引力の法則に逆らう話しの流れを汲みとるかたちで「そう言われたらあなたも空中を捜すかも知れないわね」と歌われるこの展開が格好よくないですか?

うーん…一体どうしたら彼を捕えることができるんでしょうね!

マキャヴィティのカードゲーム

英語歌詞には、マキャヴィティがカードゲームをしている時の様子が描かれています。

そこに見え隠れするのは彼の「表の顔」と「裏の顔」。たった2行のフレーズですが、マキャヴィティを捕まえることが出来ない理由を知ることが出来ますよ。

He’s outwardly respectable
I know he cheats at cards

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)

歌われているのは「マキャヴィティは、外見上は品行方正、(でも)カードゲームでズルするのを知っているわ」というようなことです。

ただ単に逃げ隠れが上手いのではなく、人前(猫前?)に堂々と現れ、品行方正な態度をとりながら、サラリと相手を騙してしまう、かなりの知能犯だということです。

マキャヴィティの犯行5つ

最期は、劇団四季の歌詞ではこのように歌われてている、マキャヴィティの犯行について見ていきましょう。

宝石箱が こわされてしまった
次は倉庫だ 破られてしまった!

犬が一匹
引き裂かれた

―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マキャヴィティ – 犯罪王」(訳詞:浅利慶太)

英語歌詞では、より詳しく歌われています。

And when the larder’s looted
Or the jewel cases rifled
Or when the milk is missing
Or another Peke’s been stifled
Or the greenhouse glass is broken and the trellis past repair
There’s the wonder of the thing:
Macavity’s not there!

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)

5つの犯行とは次の通りです。

  • the larder‘s looted … 貯蔵庫から略奪されている
  • the jewel cases rifled … 宝石箱が盗まれている
  • the milk is missing … 牛乳がなくなっている
  • another Peke‘s been stifled … もう1匹のペキニーズ犬が苦しそうにしている
  • the greenhouse glass is broken … 温室のガラスが壊されている

ありとあらゆるタイプの犯行をしていますね…。犬とは「ペキニーズ犬」だったんですね。

ペキニーズ犬が苦しそうにしているって、一体この犬にマキャヴィティは何をしたというのでしょうか…。末恐ろしいですね…!!

マキャヴィティ – 犯罪王(Macavity:The Mystery Cat)」の、他の記事はこちらから。

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

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