劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』より「デュトロノミー – 長老猫(Old Deuteronomy)」の英語歌詞を見てみると、デュトロノミーの年齢を推測することができます。
彼はことわざや詩に登場するほど、長生きな猫だったんです。今回はそこを詳しく見ていきましょう。
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目次
歌詞の比較
日本語
劇団四季の歌詞ではこのように歌われています。
オールドデュトロノミー
彼は知ってる
遠い過去の出来事を悲しみこえた向うには
夜明けは続いていることを―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「デュトロノミー – 長老猫」(訳詞:浅利慶太)
「遠い過去の出来事を知っている」ということは、それだけ長生きしているということですよね。
英語
英語でも、もちろんデュトロノミーが長生きであるということに触れています。
Old Deuteronomy’s lived a long time
He’s a cat who has lived many lives in succession
He was famous in proverb and famous in rhyme
A long while before Queen Victoria’s accession―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Old Deuteronomy” (作詞:T.S. Eliot)
しかし、どれくらい長生きをしているかが分かるのが英語歌詞です。
それでは、フレーズを1つずつ見ていきましょう。
どれくらい長生きなのか?
ことわざや詩にも出てくる
まず、最初の2行から見ていきましょう。
“lived a long time” が「長い間生きている」という意味なので、このフレーズだけ見ても長生きだということは十分に分かります。
しかし、それに続く内容を理解することでどれくらい長生きした猫なのかを具体的に知ることができるのです。
“proverb” は「ことわざ」、 “rhyme” は「詩」です。
ことわざや詩にデュトロノミーが登場するということは、言い伝えになるほどの年月をデュトロノミーが過ごしているということです。
ヴィクトリア女王即位前から生きている
これを更に強調づけるのがこのパート。
- A long while before Queen Victoria’s accession … ヴィクトリア女王即位よりずっと前から
つまりヴィクトリア女王即位よりずっと前から、ことわざや詩で有名な猫だったということなんですね。
ヴィクトリア女王は『キャッツ』で時折登場するので、押さえておきましょう。
ヴィクトリア(英語: Victoria、1819年5月24日 – 1901年1月22日)は、イギリス・ハノーヴァー朝第6代女王(在位:1837年6月20日 – 1901年1月22日)、初代インド皇帝(女帝)(在位:1877年1月1日 – 1901年1月22日)。
世界各地を植民地化・半植民地化して繁栄を極めた大英帝国を象徴する女王として知られ、その治世は「ヴィクトリア朝」と呼ばれる。在位は63年7か月にも及び、歴代イギリス国王の中ではエリザベス2世に次ぐ長さである。
―ヴィクトリア(wikipedia)
では、一体何歳なのでしょうか?
年齢は140歳以上?
デュトロノミーの年齢を計算してみましょう。
- ヴィクトリア女王の即位 … 1837年6月20日
- キャッツの初演(イギリス、ウエストエンド:ニューロンドン劇場) … 1981年5月11日
ヴィクトリア女王即位の年にデュトロノミーが生まれたとして、初演時のデュトロノミーの年齢が約144歳!(1981年-1837年=144年)
しかし、歌詞にはヴィクトリア女王即位のずっと前とありますから、160~170歳は軽くいっているのではないでしょうか?
猫の寿命は約15年らしいので、約10倍です。もはや「生ける伝説」と言えるでしょう!
最高齢の村人もびっくり?
そんな生ける伝説のデュトロノミーを見て、人間もびっくりしています。サビの部分を見てみましょう。
幸せ彼と共に生きる喜び
皆の願い集める彼こそが
オールドデュトロノミー―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「デュトロノミー – 長老猫」(訳詞:浅利慶太)
日本語では厳かな雰囲気漂う歌詞になっていますが、英語はかなりチャーミングな内容になっています。
The Oldest Inhabitant croaks
Well, of all things, can it be really?
Yes! No! Ho! Hi! Oh, my eye!
My mind may be wandering, but I confess
I believe it is Old Deuteronomy!―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Old Deuteronomy” (作詞:T.S. Eliot)
冒頭の “The Oldest Inhabitant” が「最高齢の住人」、 “croaks” が「しわがれ声」という意味です。
なので、村一番年を重ねたおじいさんがデュトロノミーを見つけて、何か言っていると分かります。
- Well … おや!まあ!
- of all things … 事もあろうに、よりによって
- can it be really? … これは本当か?
かなり動揺していることが手に取るように分かるでしょう。
「おや、まぁ!よりによって、本当か!?そうだ、いや、なんと、まぁ、わしの目は確かか?」といった感じに、びっくりしちゃっているんですね。
しかも “mind may be wandering(頭がボケたのかもしれない)” とまで言っています。…このおじいさん、可愛いな。
それでも自信を持って言うわけです、 “I believe it is Old Deuteronomy!(これは間違いなくデュトロノミーだ!)” と。
きっと天然記念物を見つけたような気分だったでしょうね。
他にも村人とデュトロノミーの関わりが歌われているので、こちらの記事も併せてご覧ください。
ちなみに歌詞内では最高齢の住人が「おじいさん」だとは書かれていませんが、原作『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』の挿絵がおじいさんだったので、恐らくおじいさんなんだと思います。
いかがでしたか?
デュトロノミーがどれだけ長生きかお分かりいただけたでしょうか?
さて、年齢ですごいのはデュトロノミーですが、体重ですごいのはバストファージョーンズです。
一体何キロなのか気になる方はこちらの記事もご覧くださいね(笑)。
「デュトロノミー – 長老猫(Old Deuteronomy)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。