劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』より「マンゴジェリーとランペルティーザ – 小泥棒(Mungojerrie and Rumpelteazer)」の英語歌詞を見てみると、2匹の性格や行動をより具体的に知ることができます。
2匹はどんな性格なのでしょうか?今回はそこを詳しく見ていきましょう。
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悪名高いコンビなの?
日本語
劇団四季の歌詞ではこのように歌われています。
マンゴジェリーと
ランペルティーザ悪名高きカップルだ
コメディアンから綱渡り
アクロバットとなんでも―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マンゴジェリーとランペルティーザ – 小泥棒」(訳詞:浅利慶太)
日本語だと「2匹は悪名の高いカップルで、コメディアンからアクロバットまで何でもやるよ」という表現になっています。
英語
しかし、英語は少し表現が異なっています。
Mungojerrie and Rumpelteazer
We’re a notorious couple of cats
As knockabout clowns, quick-change comedians
Tight-rope walkers and acrobats―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Mungojerrie and Rumpelteazer” (作詞:T.S. Eliot)
それぞれの単語は次の意味ですから、使われている単語自体は日本語とさほど変わりませんよね。
- a notorious couple of cats … 悪名高いコンビの猫
- knockabout clowns … 騒々しいピエロ
- quick-change comedians … 早着替えをする芸人
- Tight-rope walkers … 綱渡り師
- acrobats … 曲芸(アクロバット)師
「これらのことをやる」と表現されている日本語に対し、英語は “We’re a notorious couple of cats as~(我らは~のように悪名高いコンビだ)” となっています。
つまり「我らは騒々しいピエロのコンビ、早着替えをする芸人コンビ、綱渡りのコンビ、アクロバットのコンビのように悪名高いのさ」と歌っていて、登場する単語はこの2匹を例えるものだったのです。
盗みは敏腕で、口達者
マンゴジェリーとランペルティーザの性格については、英語の方が具体的です。
Mungojerrie and Rumpelteazer have a very unusual gift of the gab
We are highly efficient cat burglars as well
And remarkably smart at a smash and grab
We make our home in Victoria Grove
We have no regular occupation
We are plausible fellows who like to engage
A friendly policeman in conversation―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Mungojerrie and Rumpelteazer” (作詞:T.S. Eliot)
日本語で歌われていないのが、この2つ。
- highly efficient cat burglars as well … 凄腕な強盗よろしく
- no regular occupation … 特定の職には就いていない
“burglars” が不法侵入者という意味なので、 “cat burglars” は「不法侵入猫という造語かな」と冗談交じりで思っていたら、 “cat burglars” という言葉が存在することが分かりました。
- cat burglars … 2階の窓から押し入る夜盗、壁などをよじ登って建物に入る強盗
軽々と2階まで登り、するりと窓から入ってしまえる様子から、 “cat” という言葉が入っているのでしょうね。
『キャッツ』には、これ以外にも “cat” という言葉が使われたイディオムや単語があります。劇場猫のガスの歌詞にも登場しますよ。
ちなみに、この歌詞に該当する日本語パートに「ご立派な家建てたけど」というフレーズがあります。
ご立派な家 建てたけど
そこには住まずに二人が楽しむ遊びは
おまわりさんとの おしゃべり―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マンゴジェリーとランペルティーザ – 小泥棒」(訳詞:浅利慶太)
英語の “We make our home in Victoria Grove” に当たる部分ですが、ここも少しニュアンスが変わってきますので、次の解説・考察をご覧くださいね。
風のように素早い
もう1つ、2匹の行動を表現しているパートがあります。
疾風のように現れて
疾風のように去って行く―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マンゴジェリーとランペルティーザ – 小泥棒」(訳詞:浅利慶太)
日本語では「疾風のように」と表現されていますが、英語では “hurricane(ハリケーン、台風)” になっていますね。
We go through the house like a hurricane
And no sober person could take his oath―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Mungojerrie and Rumpelteaze” (作詞:T.S. Eliot)
しかも、 “We go through the house like a hurricane(家の中を台風のように駆け抜ける)” ので、いくら冷静な人でも罵ることを我慢できないそうですよ(苦笑)。
誰だって家の中を台風のようにかけぬけられたら「コラァッ!」とどなってしまいますよね。
家の各所から聞こえる音
そんな風に家の中を駆け抜けた結果、2匹は物を壊します。
台所や食堂で
大きな音が聞こえて書斎で大事な花ビンの
割れる音がした時は―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マンゴジェリーとランペルティーザ – 小泥棒」(訳詞:浅利慶太)
ここは英語をかなり忠実に訳しているパートなので、ほとんど意味は変わらないのですが、訳されていないものが1つあります。
それが、物を壊した時の音です。
And when you hear a dining room smash
Or up from the pantry there comes a loud crash
Or down from the library there comes a loud ping
From a vase that was commonly said to be Ming―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Mungojerrie and Rumpelteazer” (作詞:T.S. Eliot)
音は全部で3つあり、意味は次の通りです。
それぞれの音の発生場所を整理すると、こうなっています。
- ガシャン → a dining room(ダイニングルーム)
- ガチャン → the pantry(食品貯蔵室)
- ミシッ → the library(図書室)
“ping(ミシッ)” と音が聞こえたのは図書室ですが、実際ヒビが入ったと思われるのはこれです。
- From a vase that was commonly said to be Ming … 明朝時代のものと言われている花瓶
きっと高価な花瓶なんでしょう…ヒビが入ったらただ事じゃすまない気がしますが…!
いかがでしたか?
2匹の敏腕さ、俊敏さ、そして賢さを分かって頂けたでしょうか?
「マンゴジェリーとランペルティーザ – 小泥棒(Mungojerrie and Rumpelteazer)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。