劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』より「マキャヴィティ – 犯罪王(Macavity:The Mystery Cat)」の英語歌詞を見てみると、マキャヴィティのことを “The Napoleon of Crime” と表現しているところがあります。
直訳すると「犯罪界のナポレオン」ですが、一体どういう意味なのでしょうか?
実はこれ『シャーロック・ホームズ』と、深い関係があるんですよ。
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マキャヴィティ―は泥棒猫のボス?
“Macavity: The Mystery Cat(マキャヴィティ – 犯罪王)” の英語歌詞には、次のようなフレーズがあります。
And they say that all the cats whose wicked deeds are widely known
(I might mention Mungojerrie, Rumpelteazer, Griddlebone)
Are nothing more than agents for the cat who all the time
Just controls the operations
The Napoleon of Crime!―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Macavity:The Mystery Cat” (作詞:T.S. Eliot)
最終行に “The Napoleon of Crime!” のフレーズがありますね。まずはそこまでのフレーズを見ていきましょう。
- wicked deeds are widely known … 邪悪な行いは広く知られている
- agents for the cat … あの猫の代理人
- controls the operations … 動き方を監督する
注目したいのは、Mungojerrie(マンゴジェリー), Rumpelteazer(ランペルティーザ), Griddlebone(グリドルボーン)の3匹が出てきているということです。
この3匹は言うまでもなく、日々悪行を働く泥棒猫たちですね。
しかしこの3匹は、3匹の動きを監督している “the cat(あの猫)” の代わりに過ぎないと歌われています。
“the cat” が誰を指しているのか…それはもちろん、マキャヴィティです!
この3匹はあくまでもマキャヴィティの手先に過ぎず、中心・核・軸を成しているのは彼なんだということが歌われています。
自分では直接手を下さない大物。悪役とはいえ、やはり格好いいですね。
ちなみに、ここのフレーズは、日本語ではこのように歌われています。
今迄この世に 悪人はいたが
どうでしょう マンゴジェリー
どうでしょう グリドルボーンこんな奴等は みんな小物
マキャヴィティこそは
ナポレオン オブ クライム―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「マキャヴィティ – 犯罪王」(訳詞:浅利慶太)
上手い訳です!
「犯罪界のナポレオン」の意味は?
それでは本題の “The Napoleon of Crime” とは何のことなのでしょうか?
日本語でも特に訳されることなく歌詞に残っているので、意味が分かりませんよね。
皆さんは、アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズをご存知でしょうか?
シャーロック・ホームズは名探偵ですが、このシリーズに登場する犯罪者、ジェームス・モリアーティ教授の代名詞こそが “The Napoleon of Crime(犯罪界のナポレオン)” なのです!
“The Napoleon of Crime” については、原作に次のような注釈がありました。
シャーロック・ホームズが学者犯罪人、ジェームス・モリアーティを指していった言葉(『シャーロック・ホームズ最後の事件』)。エリオットは、この言葉をこの詩の中にそのまま借用している。
―T.S.エリオット『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(p.74)
マキャヴィティ本人としては、名誉なことかもしれませんね。なんせ、『シャーロック・ホームズ』の悪役の肩書なんですから…!
『シャーロック・ホームズ』は数作しか読んだことがないので、もっと読んでモリアーティ教授について詳しくなろうと思います。
今回出てきた3匹の泥棒猫の名前の由来については、次の記事をご覧くださいね。
「マキャヴィティ – 犯罪王(Macavity:The Mystery Cat)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。