デュトロノミー…その名前の由来と意味は?キリスト教と関係が?

劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』に出てくる、長老猫「デュトロノミー」。

そんな彼の名前の由来は、原作『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』に書かれていました。

宗教的な意味がある彼の名前は、その存在感にふさわしいものでしたよ。歌詞に散りばめられた、キリスト教との関りを知りながら、詳しく見ていきましょう。

Music from the Musical

・作品名:キャッツ(CATS)

・曲名:デュトロノミー – 長老猫(Old Deuteronomy)

・訳詞:浅利慶太(作詞:Trevor Nunn & Richard Stilgoe)

アルバムを視聴する ・日本語:キャッツ
・英語:CATS
・カラオケ:Cats(karaoke)

 

名前の由来

 

原作には次のように記載がありました。

 

『旧約聖書』「申命記(しんめいき)」のことモーセの説教と律法から成る。猫の名前は、そこから採られた。

―T.S.エリオット『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(p.55)

 

『旧約聖書』の「申命記」を指していたとは初耳です!

なかなか神々しいというか、宗教的な名前だったんですね。

デュトロノミーは「デュト様」なんて呼ばれていたりしますが、これを由来を知ると「様」と呼ばれるにふさわしい名前な気がします(笑)。

気になって「申命記」を読んでみたので、気になる方は是非併せてお読みくださいね。

 

キリスト教との関係

牧師館付近にいる猫

 

キリスト教と深い関わりにあるということは、歌詞の端々からも見受けられます。例えばこのフレーズ。

 

At the sight of that placid and bland physiognomy
As he sits in the sun on the vicarage wall

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Old Deuteronomy”(作詞:T.S. Eliot)

 

ここではデュトロノミーが日を浴びながら“placid and bland physiognomy(人当たりのよい顔つき)”をすることが歌われています。

それがどこなのかというと、“vicarage wall(牧師館の塀)”です。日本語歌詞では次のように訳されています。

 

あの街の教会が彼の住処
昼ひなたぼっこが彼の日課

―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「デュトロノミー – 長老猫」(訳詞:浅利慶太)

 

日本人にはあまり「牧師館」に馴染みがないので「教会」と訳したのでしょう。私も初耳です。

牧師館とはこういう場所で、『レ・ミゼラブル(Les Misérabless)』のミリエル司教が住んでいる場所のようなことでしょうね。

 

牧師館 (rectory) とは各教区の牧師が居住する、または以前に居住していた家屋。一般的にはイングランド国教会を中心とした聖公会において用いられる。今日においても各教区に牧師館をおく意義が失われた訳ではないが、実際には多くの牧師館が教会によって売却されている。

牧師館(wikipedia)

 

天気の良い日、牧師館付近を歩くことがあったら、デュトロノミーを探してみようかな。

 

9はキリスト教的に縁起の良い数字?

 

デュトロノミーがキリスト教と関係があるというのは、場所だけではありません。それは数字に着目するとよく分かります。

 

Old Deuteronomy’s buried nine wives
And more ? I am tempted to say ninety-nine
And his numerous progeny prospers and thrives
And the village is proud of him in his decline

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Old Deuteronomy”(作詞:T.S. Eliot)

 

意味を1つずつ見ていきましょう。

 

buried nine wives…9匹の妻を看取った

tempted to say ninety-nine…99匹だったような気もする

 

お気付きですか?いずれのフレーズにも「9」という数字が入っていますよね。

長生きなデュトロノミーということもあって妻が先立ち、何度か再婚をしているのでしょう。でもその数が9匹だったか99匹だったか…そういう細かいことは問題ではないんですね。

原作にはこんな記述がありました。

 

猫は九生を生きるといわれている。古来から、猫の生命力とたくましさ、さらには神秘性から、猫は九回の生涯を送ると考えられていた九はまた、宗教的で縁起のいい数字である。

―T.S.エリオット『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(p.55)

 

デュトロノミーの名前自体がキリスト教と関係の深いものなので、こういった数字を使うことで歌詞全体に宗教的な雰囲気を持たせたんでしょう。

調べれば調べるほど、私たち私達の知らないことが出てきて面白いですよね!歌詞を読み解いていくと、作詞家の想いを受け止めることができるような気がして嬉しいです。

ちなみに、ここのフレーズは日本語ではこのように変わっています。

 

愛する妻の笑顔が
何よりも彼のなぐさめ

―劇団四季ミュージカル 『キャッツ』 より 「デュトロノミー – 長老猫」(訳詞:浅利慶太)

 

妻を登場させてはいますが、彼の長生きさを妻の死で表現しているのが英語歌詞だということですね。

 

「9」という数字と猫の関係について、こちらにまとめましたので、是非併せてご覧くださいね。

 

蘇りもキリスト教と関係が?

 

ここでふと気付いたのですが…。

ジェリクル達の集いって、人生をやり直せる猫を1匹選定しますよね。この設定って「キリストの復活」と少し似ていませんか

もともと原作の『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』には蘇りの設定はなく、原作は猫を面白おかしく紹介する詩集です。

しかし、もしかしたらミュージカル化される際にデュトロノミーの名前と関連付けて、「蘇り」を主軸に置く物語にしたのかもしれない…なんて考えてしまいました。

再生する1匹を選定するのもデュトロノミーの役割で、ミュージカルでは重要なポジションですもんね。

蘇りについては、次の記事でも触れているので、是非併せてご覧ください。

 

 

いかがでしたか?

デュトロノミーとキリスト教との深い関わり、お分かりいただけたでしょうか?

今回ご紹介した牧師館や「9」という数字については、こちらで画像付きでまとめています。是非併せてご覧くださいね。

 

その他“Old Deuteronomy(デュトロノミー – 長老猫)”の歌詞解説や、ミュージカル『キャッツ』についてはこちらの記事をご覧ください。


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